洋服はもっと高価なものだった?!
今、日本ではどれくらいの衣類が市場に供給されているのでしょうか。30年前と比べてみると、約20億着から約36億着へと約1.8倍に増加しています。
その一方で、衣服1枚あたりの価格は、6,848円から2,785円へと大きくダウンしており(総務省「家計調査」より)、アパレル全体の市場規模も約14.6兆円から、約10.1兆円へと縮小しています。
これはつまり、最新のトレンドを取り入れ低価格に抑えた商品を、短いサイクルで次々と生産し販売する、大量生産・大量消費の傾向がまだまだ続いているということ。
そしてそれは、大量廃棄へとつながっているということになります。
もちろん「トレンドの服が安く買える」のは、私たちにとってはとても魅力的なことです。
日本のファストファッションは、「安かろう悪かろう」ではなく、安価でも上質なものが多いのも事実。
手頃な価格の服を上手に着こなして、おしゃれを楽しんでいる人もたくさんいます。
でも、「安いから気軽に買う」ことは、結局「気軽に捨てる」ことにつながりかねません。
服はあるのに、着る服がない?!
実際に、2022年度の調査によると、年間一人あたりの平均「購入枚数」は約18枚。その一方で「手放す服」が年間約15枚もあるということです。
また、「買っては捨てる」を繰り返しても、結果として35枚もの「着ない服」(1年間1回も着なかった服)がクローゼットの中に眠っていることもわかっています。
ところでみなさんは、服がぎっしり詰まったクローゼットの前に立って「今日着ていく服がない」と途方にくれたことはないでしょうか。
「服はあるのに、着る服がない」というのはよくあるお悩みですが、もしかするとそれは、「着ない服」がクローゼットの中で幅をきかせていることが原因なのかもしれません。
それなのに「着る服がない」と感じるたびに、なんとなく新しい服を買ってしまっては、「着ない服」をさらに増やすことになってしまいますね。
大切なのは、「捨てる服」、「着ない服」を少しでも減らすこと。
そのためには、安く買って流行のシーズンが終わったら捨てる、というサイクルを見直す必要があります。
服を気軽に買うのではなく、本当にそれが必要かどうか、自分に似合うのか、気に入って長く着られるかどうかをよく検討してから購入するようにしましょう。
日本中の人が現在よりも1年長く着ることで、ゴミとして廃棄される服を全体で4万トン以上削減することができるそうです。
今持っている1着をできるだけ長く着る。それだけで環境負荷を減らすことができるのです。
参考資料・データ
環境省 サステナブルファッション
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/