作られてから廃棄されるまで「洋服の⼀⽣」。
わたしたちが毎⽇⾝につける洋服。⽣活になくてはならないものですが、⼀体どのように作られているのでしょうか。
洋服を作るためには、まず綿や⿇、⽑などの天然素材や⽯油などの「原材料調達」が必要です。
つぎに⽷をつむいで織物を作る「紡績」という⼯程があり、「染⾊」などの加⼯が施され、「裁断・縫製」を経て、洋服ができあがります。
⽇本で売られている⾐料品の約98%が海外でつくられていると⾔います。
外国産の原料を使って、海外で製造する。
今着ている服のタグを⾒てみてください。ほとんどすべての服が外国製と⾔ってもいいほどです。
もしも⽇本製と記されていたとしても、原材料は外国産の可能性が⼤きいと思われます。
そのため、できあがった洋服を⽇本へと運ぶ「輸送」という過程が必要になります。
⽇本の港に着いた洋服は、トラックなどに積まれて⽇本中のショップへと運ばれていきます。
そのようにして店頭に並んだ洋服を、私たちは購⼊して⾝につけ、やがて不要になったものを廃棄します。
しかし、その後の洋服の運命は、廃棄のされ⽅によって⼤きく変わってしまうのです。
2022年度の調査では、
「古着」として販売されるものが7%、「譲渡・寄付」されるのが3%、「地域・店頭で回収」されるのが14%、「資源回収」が8%、そして「可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄」されるのが最も⾼い68%となっています。
これでは、まるで廃棄するために服を作っているようなもの、と⾔えるかもしれません。
服1着を作るための環境負荷は?
たとえば、綿100%のTシャツを作るためには、原料となる綿を栽培しなければなりません。
植物を育てるために⽔やりは⽋かせませんし、肥料も必要です。もし化学肥料や農薬を⽤いるなら、⼟壌汚染などの悪影響も無視できません。
ポリエステルなどの化学繊維は⽯油を原料としています。⽯油から繊維を合成する⼯程では、電気などのエネルギーが不可⽋であり、たくさんのCO2が排出されます。
その後も、紡績、染⾊、縫製など、服ができるまでのさまざまな過程で、それぞれの⼯場から⼤量のCO2が排出される上に、さらに裁断の⼯程では、原反の約3割という膨⼤な「裁断くず」が発⽣し、そのほとんどが廃棄物となっています。
それらを服1着分に換算すると、約25.5kgのCO2排出量。と⾔われてもピンときませんが、なんと500mlのペットボトルを約255本製造したのと同じぐらいの量なのだとか。
また、⽔の消費量は約2,300l。浴槽に約11杯分もの⽔が必要なのだそうです。
環境にそれだけ多くの負荷をかけて⽣産される服。でも、現実にはその半分以上が廃棄され、焼却や埋め⽴て処分によって、さらに環境を汚しているというわけです。
服をゴミとして廃棄するのではなく、リユースやリサイクルに回すことがいかに⼤切かがわかります。
参考資料・データ
環境省 令和4年度 循環型ファッションの推進⽅策に関する調査―マテリアルフロー
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/goodpractice/case26.pdf
環境省 サステナブルファッション
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/